終末のフール

終末のフール

伊坂幸太郎の新作の舞台となる場所、そこは小惑星が墜ちてきてもうすぐ終わってしまう世界。←ムジュラの仮面風に
ミステリ的構造の話が多い点やラストに総括的な短編をもって来るところなど「死神の精度」との類似点がちらほら散見。
しかし同じように死を扱ってはいるが、本作の場合は死が三年後に迫っていることを登場人物の殆どみんなが承知しており、死を受け入れざるを得ない状況下での生き方を自分自身で選択していく様子を描くことに焦点が当てられている。
結局のところ、生きる為の理由や基盤を手に入れたり(←概ね「信念」というかたちで描かれている)、それがなんだったのか気付いたりする話なのだけど、ラストで少し転回する。
まるっきりのハッピーエンドでもないが(まあ重心はこっちに傾いているけど)、まったく救いようのない話もない、いつもの伊坂作品であった。