「二十世紀SF2」
1950年代に発表されたSFを厳選したアンソロジー。終末テーマや戦争、兵器などがテーマの作品が多く、そこではのがれられない脅威に対する態度を決定させらるような人々、社会が描かれる。そんなことをSF作家たちに否応なく考えさせる時期だったんだろうなぁ、と思った。印象に残った作品をちらっと紹介。
ロバート・シェクリイの「ひる」は、アメリカの片田舎(うろ覚え)にあらゆるエネルギーを自らの構成物質に変換してしまうエイリアンが登場するお話。これを取り除くために様々な兵器が用いられるのだが・・・アイロニーに満ちたオチがシェクリイらしい。
エリック・フランク・ラッセルの「証言」は、地球にやってきたエイリアンが被告として裁判にかけられてしまう話(ソウヤーみたいだ)。まったくエイリアン側の心理は描写されないので読者は検事側と弁護側のどちらに肩入れしていいものか気に揉むかもしれない(そんな安っぽい感情移入とは無縁のところで読書なさる御仁ならばまったく気に掛けないかもしれないが)。リアルタイムで進行する裁判状況は非常にサスペンスに満ちています。「ユダの窓」とかの法廷パートの雰囲気がすきな人は楽しめるでしょうね。
シオドア・スタージョンの「たとえ世界を失っても」は・・・射干玉くんがこの作品を評した一言が、いちばんしっくりいきますね。曰く、「やおい」作品。ちなみに「やおい」というのは形容詞で「お」にアクセントが来ます。
もちろん他にもイイ作品がいっぱい収録されとります。