大きな前庭 (ハヤカワ文庫 SF 450)

大きな前庭 (ハヤカワ文庫 SF 450)

SF短編集。
クリフォード・D・シマックはアメリカ出身の作家。少年時代は祖父が経営する農場で育ち、大学中退後、新聞記者を経てSF作家となった。
その出自ゆえだろうか作風はやや牧歌的な雰囲気を有しつつも通底する怜悧な視線が独特の世界観を形成している。
本書ではコミュニケーションをテーマに据えた作品を中心に収録。異質な知性同士の邂逅をメインモチーフに、ユーモラスながらもどこか無常感(観)を帯びたSFが楽しめる。
集中では『ジャック・ポット』が一番好み。宇宙各地を飛び回るトレジャーハンターが発見した惑星にそびえ立つサイロ状の建築物の正体とその価値をめぐる話。