本を読んだ後に浮かんだ雑感

「悪の起源」エラリイ・クイーン
てなわけでクイーン。
本書は後期クイーン作品がもつ「らしさ」が前面に出た作品であると言える。例えば、登場する若い男女のカップル(つかずはなれず、男はエラリイに嫉妬したり)はその若さゆえに(クイーン作品の必然として)愚かであり、相変わらずエラリイは美人に弱い(犯人にも弱い)。小説としてはトリックやロジックよりもプロットを重視した造りになってるところも共通項だろう。かといってトリックやロジックがつまらない訳ではけっしてなくて、全体に奉仕する要素としてあえて抑えれているとった印象。前半部の展開がやや退屈なのも、後半のカタルシスのための必要作業だと思えてくる。結論としては、大満足であった(ちなみに私がクイーン作品に満足しなかった経験は皆無である)。
要するに「××××ネタ」なんですが、これは作品が執筆された時期を鑑みればあたりをつけられる類いのものですな。
悪の起源 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-9)