白菊 (創元推理文庫)

白菊 (創元推理文庫)

内容はいつもの藤岡真。つまりは「ゲッベルス」「ギブスン」の同類項バカミスである。今回も主人公は中年の業界人で今回も事件途中で若い女性と懇ろになり今回も見かけよりずっと空疎な結末が待ち受けている。
つまり藤岡真好きなら読んで損はないけどそれ以外の方にはあまりオススメしないよってこった。
それにしても、彼の作品の殆どに言えることだがプロットの根幹を成す設定があまりにも現実離れしている。このへんがバカミスと呼び称される所以なんだろうけど。
つまり、作品に一貫性、内的な完全性を持たせるために、現実ではちょっと無理が生じるような設定(○○が○○○であるといった思い込みのいくつか、およびラストで明かされる××が○○○であるということなど)がこの作品では多数採用されており、結果作品内のリアリティが現実世界からだいぶ浮遊(遊離)したものになってしまっている。
だから短絡に駄目って訳じゃないとは思うが、この部分に抵抗を感じる人は藤岡作品の読者に向いていないと思う。