「ガラスの村」エラリイ・クイーンガラスの村 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-8)
ミステリ。本書はエラリイやレーンが出てこないノンシリーズものである。解説によるとアメリカの片田舎で起こった殺人事件に発表当時の社会風潮を盛り込んだ意欲作であるらしい。
伏線の周到さやロジックの厳密さは全盛期の作品群に及ばないものの、作中の模擬裁判シーンにおけるユーモア性や終盤における解決シーンの盛り上げ方など、演出部分の円熟ぶりには目を見張るものがある。
まぁクイーン作品には傑作しかないんだけどね。
全体的によくまとまったミステリなので、国名シリーズの(捜査パートにおいての)退屈さに辟易した人でも十分楽しめるかと思います。