2005-06-03 ■ 読んだ本の感想とか 「痙攣的」鳥飼否宇 現代美術やロックをテーマにした連作短篇集。 芸術にも音楽にも疎い私でも楽しめた。しかし、まさかこんな実験作とは思わなかったが。イカ? 系譜としては、山口雅也の「ミステリーズ」や法月綸太郎の「パズル崩壊」などの「前衛芸術的本格」に連なる作品だと思う。 そして、先達よりも比較的ふつうのミステリだった…三作目までは。 ちなみに、全ての短篇に共通するファクターは「アイデンティティーの揺らぎ」。詳しく書くとネタバレになるので多言は避けるが、物語世界内にもメタレベルにも、その要因は働きかけている。