森奈津子西城秀樹のおかげです」のさらにつづき
登場人物ではなく読者がツッコミをいれることによって生じる効果がここにある。つまり読者に対して、おのれのツッコミの「基準」や「根拠」を自覚させやすくなり、自覚させることによって(「基準」や「根拠」の根源たる「常識」)の変革を容易にさせようとしている。つまり作者は読者を啓蒙しようとしているのだ。本書はプロパガンダ色の非常に強い小説なのである。