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完全犯罪に猫は何匹必要か? (カッパ・ノベルス)

ミステリ。
「招き猫」に関するペダントリーや発想の一風変わったアリバイトリックなど、この作者らしい凝った造りの作品。そして作風が凝っているほどバカミス度も比例して上昇するのも彼らしさか。
バカミスの場合は特にそうなのだが、本格ミステリは事件の犯行計画（ひいてはプロット）が綿密であればあるほど荒唐無稽になっていき、 作品が持つ滑稽味が増していくという傾向がある。作品の世界観や人物造形、もしくは事件の見せ方によって地に足の着いた作品に仕上げることも可能であるが、バカミス好きの私としてはそんな作者側の努力が透けて見えるお行儀の良い作品よりもバカに徹した作品の方に潔さを感じたりします。質が悪い読者だな。
ロジックもプロットもトリックもあるいまどき珍しいくらい真っ当な本格ミステリなので。その手の読者にはおススメ。
余談ですが、猫に烏賊を与えるのは感心しないね。何かの伏線かと勘ぐってしまった。あと、「オキシドール」じゃなくて「ヨードチンキ」じゃないかな。