殺意は必ず三度ある (ジョイ・ノベルス)

殺意は必ず三度ある (ジョイ・ノベルス)

ミステリ。
今回もこの作者らしい、軽薄かつおばかな作品に仕上がっている。ネタに走ることに関しては一貫していて読んでいて清々しいとすら思えたりして。オチも〇。
全体としては丁寧に造られたバカミスといった印象。伏線の張り方とその回収に唸らされ、二つの大掛かりなトリックも冴える…のだけど、地味な作品であることも確か。野球の見立てと盗まれたベースの処理の仕方は感動すら覚えたが、後半部分の盛り上がらなさは減点対象。
あと、決して寒いとは思わないが(この人の持ち味は「このギャグで読者を爆笑させてやるぜ!」みたいな気負いのない、期待値ゼロ地点から繰り出されるオフビートのギャグである)、文中や会話にギャグを散りばめた語りは読む人を選ぶと思う。
野球ネタにニヤリと出来る人とバカミス好きと堅実な本格読みにはオススメ。